iOS版GarageBand基礎講座 ch.6 通し音源制作と楽器打ち込み

前回『iOS版GarageBand基礎講座 ch.5 打ち込んでみよう!』まではGarageBandそのものの使い方を説明してきました。

今回は一歩進んで楽器ごとの打ち込みのコツをお伝えしていきます。

楽曲全般の取り扱い

各トラック(パート)の楽器のコツに触れる前に、まずは楽曲全体をどのように取り扱うのかを説明します。

「ソングセクション」の活用

楽譜には「リハーサルマーク」あるいは「レッテル」と呼ばれるアルファベットを四角で囲んだ記号が使われます。

GarageBandでは「ソングセクション」がそれに該当します。基本的に楽譜のリハーサルマークやレッテルの境界に合わせてソングセクションを設定しておくと良いでしょう。

楽譜設定

画面右上のギヤマークから【設定】に入り、キー(調性)と拍子を必ず設定しておきます。

この時点で手元にスコアがあるならざっと目を通しておいてください。後々「うわっこんなの弾いてるとか知らんかった!どうしよ?」ってことがよくあります。

打ち込む楽器の順番

バンド系の音楽を引き合いにしますが、クラシックでも基本は同じです。

基本は低い音から順次高い音のパートの順に打ち込みます。

理由は低い音が音楽のベースだからです。バンド音楽のレコーディングでもベースとドラムを先に録音するみたいですね。

その後にギターその他の音、最後にボーカルパートです。

ギターが複数あってリズムギターとリードギターのように役割分担している場合は「先にリズムギター」です。

個別の楽器のコツ

これから楽器ごとに説明していきますが、全ての楽器に共通するのは「タテ」を揃えることです。具体的にはクオンタイズ処理をかけておけば揃います。

ベース

ベースは音楽のリズムを作る最重要パートです。MIDIキーボードで打ちます。ベロシティを反映しやすいためです。

音色設定は「P-Bass」を基本にすると良いでしょう。これは指弾きのベースです。Liverpoolも指弾きですが、好みが分かれるとのことです。Mutedはハードロックやヘヴィメタルで使いそうですね。

Pickedベースは発音に独特の個性があるので使いづらく感じます。

ドラム

ドラムは元来「ベースの作るリズムを強調する」ためのパートです。クラシック音楽でもティンパニーがそういう役回りですよね。

また生演奏ではバスドラムによって空気の振動を文字通り「聞き手に肌で感じさせる」役割も担っています。

ドラムセットの基本構成

基本はバスドラム、スネアドラム、ハイハットです。

この3つがあればどうにかなります。バスドラムはリズムの根本を、スネアドラムはその補強を、ハイハットはビートを埋めるものです。

ハイハットは、ライドシンバルと互換性があり、ライドシンバルで刻むドラマーも多いです。

スネアドラムの注意点

最もよく使うドラムであり、かつ特殊奏法が多いドラムです。

代表的な特殊奏法に、ドラムの打面ではなく縁(リム)を叩く「リムショット」や「リムショットしつつ、打面も打つ」ことも多いです。

「リムショット」は曲の入りにカウントを出す用途に多く使われます。

自動ドラム「Drummer」を活用しよう!

ドラムはパターンの繰り返しが多いです。そこで私のようにドラムを経験していな人は、自動ドラムに頑張ってもらうのが良さそうです。

ただ同時にドラムの音が曲に決定的なキャラクターを与えることも多いです。(Ex:「Hello, Again ~昔からある場所~」の冒頭)そういった箇所は手作業(タッチインストゥルメントがおすすめ)で入力する必要があります。

キーボードとピアノ

MIDIキーボードで打ち込みましょう。ナチュラルな仕上がりになります。逆に機械的な音がいる場合はピアノロールに直接打ち込みます。

キーボードの音色については選択肢が凄まじく多いですが安心してください。全てに精通している人は恐らくいません。安心してください。

アコースティックギター

アコースティックギターの打ち込みは後回しが良いです。バンドという枠組みの中では冷遇されていて「おまけ」程度の扱いという理由と「ストロークにクオンタイズをかけられない」という理由があります。

後者について詳しく説明します。

コード・ストローク

「コードストリップ」を使うと自然になります。

本物のギターのコードストロークは原理的に各音が同時に鳴りません。

ダウンストローク時は低音弦から高音弦、アップストローク時は逆順に鳴ります。コードストリップ画面はそれを再現できます。

なぜクオンタイズ処理をかけるとダメなのかというと、「音の発音タイミングが揃ってしまう」ので不自然になるからです。

クオンタイズ処理は理由がない限り避けた方が良いでしょう。

単音・アルペジオ

MIDIキーボードを使うと、ギター奏者でなくても入力しやすいです。

アルペジオをMIDIキーボードで打ち込む場合、一度弾いた鍵盤をなるべく離さないようにします。

ギターのアルペジオ奏法は構成音を別々の弦で弾き、普通あまりミュートしないので音が切れると「ギターっぽさ」が消えてしまうからです。

エレキギター

エレキギターには大きく2種類の弾き方があります。「リズムギター」と「リードギター」です。

リズムギター

ベースが鳴らす音をルート(根音)として構成音を追加しつつ、ベースのリズムを補強する役割です。ロックの場合「パワーコード」と呼ばれる重音を弾きます。

パワーコードはクラシックで忌み嫌われる「空虚五度」の重音です。実演奏では隣接する2本の低音弦(4~6弦)を使用します。

パワーコードはコードストロークと異なりほぼ同時に2つの音を出します。MIDIキーボードでの打ち込みが良いです。

ハードロックやヘヴィメタルでは刻みの一部をミュートした状態で演奏することがあります。譜面上は「M」や「Mute」と書いてあったり音符の玉がXに置換されていたりします。

GarageBandではピアノロール画面の下の方にミュート箇所を指定するボタンがあります。

リードギター

ボーカルに対し合いの手を入れる旋律を入れたりします。(クラシックでいうところの対旋律に近いです)

間奏ではソロパートを受け持ったりします。比較的単音弾きが多いです。

リードギターはメロディに近い役割のため「音のニュアンス」が重要です。具体的には音の抑揚(ベロシティ)です。ピアノロールで漫然と入力すると打ち込み感が出てしまいます。

そこでMIDIキーボードを使ってピアノを弾くように演奏すると程よい感じになります。

ストリングス

基本的にMIDIキーボードで入力します。コードストリップを使うと音の立ち上がりが遅すぎて困ったことになります。

バンド系の音楽では曲全体の雰囲気を作る役割が多いです。クラシック音楽では逆に楽曲全体の土台になります。

ボーカル

打ち込みはピアノで行います。ピアノで打ち込んでおけば、後からシンセサイザーの音を充ててガイドメロディを作成することが可能です。

最後に

ここまでお読みくださってありがとうございます。

しかし書いてきた内容が全てではなく、実際に色々試してみて体得していく部分がどうしても存在します。

「あとは頑張れ!」という言い方しかできなくてすみません…。

気を取り直して、これでこのチャプターは終わりです!最後までありがとうございました。また次のチャプターでお待ちしてます!

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