『パッヘルベルのカノン』の速弾き練習法 5 Step

バイオリンで速いフレーズを弾くのは難しい障壁です。速いフレーズを弾けるようにするための練習方法を、「パッヘルベルのカノン」を例に5ステップでご紹介します。

「パッヘルベルのカノン」といえばバイオリンを習い始めたらおそらく最初の目標になる曲です。

音域的に1stポジションだけで弾けないことはないので、チャレンジしてみたい方もいらっしゃると思います。

それでぶち当たるのがこちらの部分。情け容赦ない32分音符の羅列です。

出典: IMSLP Canon and Gigue in D major, P.37 (Pachelbel, Johann)

これをいきなり練習し始めても弾けません。ではどうしたらよいでしょうか?

方法論

バイオリンでフレーズを形作るための要素を考えます。二つあります。

  • 右手 = 弓
  • 左手 = 指板

フレーズの練習は「右手だけの練習」をしてから「左手を追加した練習」に進むと効率が良さそうです。

そして両手の練習に入ったらリズムをわざと跳ねさせて運指と運弓のトレーニングを行います。

ちなみにヤマハの曲集3巻に掲載されている楽譜は4分音符=40ですので、最終的にそこを目指します。

具体的に説明していきます。

Step 1 右手の練習

右手の練習はまず「移弦の練習」をやります。

まず今回問題となっているフレーズから1小節だけ抜いてきました。こちらです。

この小節の4拍目を切り出してきました。

※スラーのかけ方は簡単にしています。

この8つの音を攻略していきます。他の部分もこの部分と同じ方法を使って対処できます。

最初に移弦を右手に覚えさせます。つまり開放弦で弾くということです。この時、32分音符は全て4分音符に置き換え、スラーも外します。

譜例はこちらです。

テンポはご自身が無理なく弾けるテンポに設定してください。

この練習の目的は右手に移弦タイミングを覚えさせることです。

Step 2 左手の練習

右手を覚えたら次に左手です。ここで音程を付けます。

今回、ラの音はD線4の指で取るように解釈していますが、難しければA線開放弦でも弾けます。

最初は4分音符=80ぐらいから練習していきます。実際に弾くテンポは32分音符になるのでこれの4倍の速度です。

Step 3 音符に付点を付けて跳ねたリズムに変換する

速いテンポに追いつくための秘策がここからになります。リズムを跳ねさせます。

こうすることによって、例えば2音目のシと3音目のラの音の部分の切り返しが速くなります。4音目と5音目、6音目と7音目も同様です。テンポは先ほどと変わらずで問題ありません。

付点音符の位置が逆のパターンも練習します。

先ほどと似ていますね。今度は1音目と2音目、3音目と4音目、5音目と6音目、7音目と8音目の切り返しが倍の速度になります。

Step 4 音符の長さを跳ねたリズムの短い方の音符の長さにする

少々意味がわからない見出しになりましたが、具体的にはこちらです。

先ほどまで2小節も使っていたフレーズが1小節に収まりました。これでテンポを2倍にできました。

ということは?

Step 5 Step3〜4を8分音符に変えて練習する。

Lesson 3とLesson 4をもうワンクール練習すれば目標のテンポに到達です。おめでとうございます!

補足

テンポを上げていく過程で「余裕がなくなり過ぎてしまう」と感じたら次のような弾き方で練習するといいかもしれません。

間に休符を挟むとさらに短いフレーズに分割できます。これで慣れてきたら休符を消去して練習すれば、いつの間にか弾けていることがあります。